みなさんこんにちは!アイです!

 

今月はクリスマス!
ということで今回のタイトルは、どどんっ!


「東京ゴッドファーザーズ」(2003年公開)

 

ジェットコースターのように軽快なテンポで次々と奇跡が起こる、
まばたき厳禁のエンタメ作品!

監督はもちろん日本が誇る天才、今敏(こん さとし)です。

 

舞台は12月25日、東京新宿の夜。主人公は路上で共に暮らす3人のホームレス。
お話の前に、愛すべき主人公たちの性格とバックグラウンドを少し、、。

 

【ミユキ】
鼻をすするクセが、生意気な物言いが、というかもう一挙一動全てにおいて
絶賛思春期真っ只中の家出少女。
以前は普通に学校に通っていたが、父親に飼い猫を勝手に捨てられ、
逆上して父を刺し家を飛び出したクレイジーガール。
可愛げは微塵もないがとても良い子。父は警察官。

 

【ギンちゃん】
自称元競輪選手、実際は元自転車屋の中年おやじ。
知り合いのヤクザから持ち掛けられた儲け話が原因で嫁、娘と別れ、
それ以来お酒とギャンブルに魂を売る生活。
身の上話を語るときは盛りまくるクセがある。
30過ぎからすでに家が無いベテランホームレス。

 

【ハナちゃん】
むちゃくちゃデカいオカマ。
しかし仕草や言葉遣いは美しく、ミユキに対しても母性垂れ流しのとても心温かい人。
むちゃくちゃデカい。
以前は夜の店で働いていたが客にジジイと言われ激怒し店で大暴れ。
大好きなママの店だったが合わせる顔がないと思いずっと帰れないでいる。
むちゃくちゃ、デカい。

 


そんな訳あり3人がクリスマスプレゼントを求めてゴミ捨て場へやってきます。


するとなんと赤ん坊が捨てられており、ハナちゃんはそのやり場のない母性から赤ちゃんを引き取ろうとします。
当然警察に届けろと言うギンちゃんとミユキを遮って段ボールハウスに赤ちゃんを連れて帰ります。

 

ハナちゃんは”清しこの夜”から赤ちゃんに”清子”と名付け、
“今警察に届けたら毎年クリスマスは清子にとって親に捨てられた悲しい思い出の日になってしまう。
だから一日だけ面倒を見させて。
明日になったらきっと警察へ行く”と約束します。

 

しかし次の朝、ハナちゃんが清子を連れて失踪。笑 
雪の中デカい足跡を追うと、清子を抱いて佇むハナちゃんの姿が、、。
“清子の本当の母親を探す!”と言い出し2人は渋々付き合うことになります。

 

はい、ここから怒涛のジェットコースターストーリーが始まります。
みなさん、安全バーをしっかり下ろし、ご都合主義に身を任せてお楽しみ下さい。
ビューーンと行きますよ!

 

以下、ネタバレ注意です!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

清子と共に捨てられていたコインロッカーの鍵を手掛かりに、親探しを開始します。

 

ロッカーに入っていたのは清子の両親と思わしき男女の写真とスナックの名刺。
ひとまずそのスナックへ向かいます。

 

すると道中で車に挟まれ死にそうなヤクザの組長と出くわし、救出。
娘の披露宴に向かう途中という組長に、これも何かの縁とスナックの名刺を見せると
なんとそのヤクザが仕切る店であることが判明!

そのまま娘さんの披露宴に招かれます。

 

豪華な食事にありつけたのも束の間、ギンちゃんがビール瓶を片手に怒り震えています。笑

実はこの披露宴の新郎、昔ギンちゃんに儲け話を持ち掛けたヤクザ張本人。
ギンちゃんは、自分がホームレスになるきっかけを作った男に飛びかかろうとしますが、
突然パーンと銃声が響きます。

 

なんと別件で命を狙われていた組長目掛けて、殺し屋外国人が発砲。笑
会場はパニックの中、外国人は清子を抱いたミユキを人質に取り車で逃亡。
アジトに連れ込みます。

 

ハナちゃんは大急ぎで2人を追跡しようとしますが、一向にやる気を出さないギンちゃんにブチ切れ。
2人はケンカ別れをし、ハナちゃんはミユキと清子を追い、ギンちゃんはふらふら街を徘徊します。

 

ここで初めて3人がバラバラになります。

 

 

【ミユキのターン】

清子と共に誘拐されたものの、アジトにいた外国人の仲間は案外良い人で清子に母乳を与えてくれました。
ミユキも言葉は通じないながらも自分のことについて話します。

おそらくミユキがお父さんを刺してしまったことは、ハナちゃんもギンちゃんも知らない。

でも初めて会った人、もう会うことのない人だからこそ話せることってありますよね。分かるわー。
ミユキは初めて素直な自分の気持ち、家族への罪悪感を涙で表します。

 

【ギンちゃんのターン】

ケンカ別れの際ハナちゃんから食らった「あんたなんか野垂れ死ねばいいのよぉ!」という言葉を思い出しながら街をフラつくギンちゃん。

すると目の前に、本当に野垂れ死にそうな白髪の老人(こいつもホームレス)が倒れています。


彼の段ボールハウスに招かれたギンちゃんは、清子の両親が写ったあの写真と同じ背景の、古い広告紙を見つけます。
偶然手掛りをゲットし喜んだ次の瞬間、オヤジ狩りに合います。最悪のクリスマスですね。笑
でもこのシーン好きです。
ここだけを切り取れば、年寄りが若者にボコボコにされる可哀想なシーンなのですが、
普段偉そうなベテランホームレスのギンちゃんも、社会的にはゴリゴリの弱者なんだなと再確認させられるシーン。
そして傷だらけのギンちゃんは、天使に保護され知らない店に連れて行かれます。笑

 

【ハナちゃんのターン】
ミユキと清子を追ってタクシーでアジトに辿り着きます。
このタクシーの運転手との掛け合いがまた面白いです。
わりとすぐにミユキと清子と再会しますが、タクシー代を払って無一文に!
諦めとも取れる、決心とも取れる言い方で”仕方ない”とハナちゃんは以前勤めていたママの店へ向かいます。
謝罪し、助けを求めるハナちゃんをママは快く向かい入れます。
するとまぁなんという事。
店の中には包帯ぐるぐる巻きのギンちゃんが横たわっています。
道で倒れていたギンちゃんを保護した天使は、この店で働くホステスだったのです。笑

 


3人が再会し、清子の両親探しも再開。
とりあえずギンちゃんが見つけた広告の場所へ向かいますが、肝心の家はもぬけの殻。というかもう廃墟。
建っているのも不思議なくらいボロボロ。
ですがここでもラッキーな奇跡、引っ越し先の住所が書かれたメモを拾います。
いざ向かわん!と思った矢先、ハナちゃんが血を吐いてぶっ倒れます。
体が弱っていたのです。そらそうです。
栄養満タンのホームレスなんて居ないでしょうよ。

 

ハナちゃんは病院に搬送されるのですが、そこで看護師として働いていたのがなんとまぁギンちゃんの娘!
数年ぶりに娘と再会したギンちゃんを見て、ハナちゃんはギンちゃんから離れようと決意します。
わざと嫌われるように暴言を吐き、ギンちゃんだけを残し病院を去ります。

 

ハナちゃんと清子を抱いたミユキ。
3人で街を歩いていると、歩道橋から飛び降り自殺を図ろうとする女性を発見。
間一髪のところでミユキは飛び降りそうな女性をキャッチ!
顔をよく見ると、、なんとその女、、
あのコインロッカーに入っていた写真の女じゃありませんか!
つまり清子のおかん。
ハナちゃんはビンタで文字通り一蹴し、こんな可愛い子を二度と手放すなと清子を託します。


一方そのころギンちゃんは廃墟で拾ったメモの住所へひとりで向かい、写真の男、つまり清子のおとんを発見。
清子のおかんは助かり、おとんも見つかった!めでたしめでたし!
といかないのがこのお話。

 

なんとここでとんでもない事実が発覚。

 

清子は出世後すぐに病院から連れ去られた赤ちゃんであることを知ります。
そして更に、連れ去った挙句、ゴミ捨て場に捨てたという最低の事実も、、。
えーっと、まとめるとこうです。
歩道橋で自殺を図っていた女は病院から清子を盗んだニセおかん。
ニセおとんは盗んできた赤ちゃんを見て怖くなり清子を勝手に捨てたということ。
まったく病んでいます。

 

それを聞いたギンちゃんはブチ切れ!からのニセおとんをボコボコ!
そらキレるわー。

 

清子を取り戻すために、3人はニセおかんをもう一度追いかけます。
このド派手な逃走劇も見ものです。ギンちゃんはチャリで爆走、車は大破し、もう終始どんちゃんどんちゃん大騒ぎ。笑

 

そしてついに、ビルの屋上で追い詰めますが、
清子を抱いたまま、再び飛び降りようとするニセおかん。
それをまたもミユキがキャッチ!

 

しかし手が滑って清子だけが真っ逆さま!

 

のところをすかさずハナちゃんがキャッチ!!

 

しかし今度は清子を抱いたハナちゃんが落ちぃぃぃぃそうになるところに強風が吹き、風を含んだ巨大なタペストリーを掴んだハナちゃんはゆーーーーっくり地面へ降りていき、、、静かに着陸。ストン。。

 

観たことない方は想像して下さい。
朝日と共に、天空からゆっくり地面に降臨する、赤ん坊を抱いた、むちゃくちゃデカいオカマ。
情報過多。おもしろの渋滞。笑

 


後日、清子の本当の両親も見つかり、是非お礼を言いたいと3人の元を訪れます。
そしてここでも最後の奇跡が3人を待ち受けています。

 

その奇跡はとは、、、、ちょっと、いや、かなり喋りすぎたので、ラストシーンは是非本編で☺️
一つ言えることは、清子のように次はミユキがギンちゃんとハナちゃんの元から巣立つ日が近いかもしれません。
そしてそれは素敵なことです。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 


いかがでしょうか。
文章にするのめちゃくちゃ大変でした。笑
物語が進むに連れ、次はどんなことが起こるんだ?と終始ワクワクします。
所々端折っていますが、本編では見落としそうな小さな奇跡のオンパレード。
その小さな仕掛け達を発見するたび、制作者が作品に込めた愛、
そしてその都度人間らしい気持ちを思い出させてくれます。

 

オープニングの映像も、背景の街並みにスタッフロールが溶け込む演出で、これから最高のエンタメをお届けしますと宣言しているかのようです!

 

長くなりましたが、最後に私が1番好きな台詞をご紹介。
ハナちゃんが清子にミルクをあげながら言う、
「可愛いわねぇ。世界で一番可愛い子よ、きっと、、」

 

 

ほなねっ!

 

chocolate art by サトウケイ