こんばんは。
今日は趣向を変えて、芸大、芸術大学の話をしてみます。
「芸大出身だから、やっぱり絵が上手なんですね」
「絵を描くお仕事ということは、芸大出身なんですか?」
などなど、
絵を描く人=芸大生、芸大出身、という図式は、
多くの方の頭の中にあるのではないでしょうか。
では実際に、
芸大を出ないと絵を描く仕事はできないのか、というと
ノーです。全く、全然、そんなの関係ないです。
じゃあなんで芸大に行くの?
と、なるわけですが、理由は様々、人それぞれです。
今回はそんな中で、
芸大に行くとこんなメリットがあるよ、
行った上でこんな風に過ごしたらもっと良いかも、
結局行くべきなの、行かなくてもいいの?
という話を、私の主観ではありますが、書いていきます。
●そもそも大学という場所は、『学ぶ姿勢』が大事
●芸大のメリットとは、『環境』と『人』。
●メリットを活用できるかは自分次第
●卒業後はどうなるの?
●つまるところ、芸大に行くべきなのか?
◇
●そもそも大学という場所は、『学ぶ姿勢』が大事
芸大に限らずの話なのですが、
小中の義務教育、それから普通高校に比べて、
大学という場所は全く性質の違う場所だと思います。
与えられたカリキュラムに従い勉強して、
定期的にやってくるテストを受けて、それを繰り返していくと
自動的に力がついていくのがそれまでの学校。
(もちろんサボると力はつきませんが)
対して大学という場所は、
受け身でいると何も学べない場所です。
かといって、誰しもが明確な目的を持って大学へ通うわけではありません。
将来やりたいことが特にないからこそ、
やりたいことを見つけた時に困らないよう、
選択肢を増やす為に大学へ進学する人もいると思います。
その場合は授業の中から消去法で興味のあるものを見つけて、
といったこともあるかもしれませんが
「私はこれを学びたい!」
「こんな風になりたい!」「こんな仕事をしたい!」
とはっきりとした目的を持って学びに来る人とは、
どうしたって、『学べる量』が違うのが大学です。
そして芸大は、その性質が特に色濃く出ている学校だと思います。
絵が好きで、他の仕事はする気にならないから
とりあえず芸大に行っとくか、みたいな場合(私です)
そしてその姿勢をずっと貫いてしまった場合は
芸大に行こうが行くまいが、あまり変わらない結果になると思います。
芸大は、『学ぶ』よりも『使う』ような意識で通うべきだ、と、卒業して大分経ってから思うので…
これから通う皆様、今通っている皆様、本当、聞いて欲しい。
いいですか。
何かを得たいなら行動あるのみ、です。
●芸大のメリットとは、『環境』と『人』。
もっとああしていれば良かった、と後悔仕切りの私ですが
(今にならなくては気付けなかったことばかりなので仕方ないけど)
それでも得たものは沢山あります。
行くだけでも得られるもの。
それが、『環境』です。
なんといっても、制作場所が手に入ります。
私のようなデザイン系の、
デジタルを使用する人たちは
制作場所なんてどこだって良いのですが、
油絵や陶芸、版画もろもろの方々は
とてもじゃないけど家では出来ない。
油絵は匂いがすごいし、
陶芸はドロドロになるし窯も要るし、
版画は技法によっては巨大な機械を使います。
あと染色も、家では出来ないですね、、彫刻も難しいかな?
この辺りの分野の方は、
芸大に行くことが非常に重要なのではないでしょうか。
それ以外の方法があるとしたら、
その道の方に弟子入りするとかでしょうか。
制作できる環境が整っているというのは、
ものすごーーーく、大事です。
次に得られるものが、『人』です。
教授や講師が一線で活躍するアーティスト
という学校もありますし、
そうでなくても自分より遥かに
経験を積んできている大先輩です。
そんな方々から直接指導を受けたり、
質問できたりするわけです。
そして同級生。
それまでクラスで一番絵が上手だったとしても、
芸大に行けば、基本みんな上手いので。
刺激半端ないです。
自分の創作に対するモチベーションになるし、
どんな道具を使っているのか、どんな風に描いているのか、
情報を共有できます。
在学中に出来た繋がりが、卒業後仕事に結びつくことも沢山あります。
サークルに入ったり、学祭に参加したりすると、先輩後輩の繋がりもできます。
生徒同士の繋がりは、将来だけでなく、在学中のモチベーションを上げる為にも重要ですよね。
●メリットを活用できるかは自分次第
さて、上記にあげたメリットと、最初にあげた「行動あるのみ」という
二つの点はものすごーく結びつきが深いです。
先ほどあげたメリットは、通うだけでもある程度は得られますが、
行動することで更に威力を増します。
教授も先輩も同級生も、
質問しなくちゃ答えてくれません。
黙っていたら教えてくれる、そんな優しさ、周りもみんな必死なのに
持ち合わせているとは思えません。
教授や講師も、小中高の先生とは性質がまったく違います。
例えばその道で活躍中のイラストレーターだったとしましょう。
素晴らしいイラストを描かれる方で、
ポスターや商品パッケージなども色々手掛けている。
だとしても。
その方は、「絵を描くこと」に関してはプロでも、「教えること」はプロじゃない。
当たり前ですよね、
いやいや、大学で教鞭取ってるんだから
教えることもプロであれ、
と思われるかもしれませんが、
もちろん各教授、講師の方々みなさまそ
れぞれ矜恃をもって授業の準備をされ、
生徒と向き合っておられると思います。
が、その内容が、自分にとって
痒い所に手が届く内容かというと
また違ってくるのではないでしょうか。
「行動あるのみ」の意味は、まずここにあって、
授業で習っていない、
授業内容に出てきていないからといって
教えてもらえないわけじゃない、ということ。
バンバン質問に行きましょう。
それから、『人』についても同じです。
芸大で得た人脈を、卒業後仕事に結びつける為には
まず人脈の絶対数を上げるべきだし、
その人達の中で
「こういう作品を作っている」など、何らかの印象に
残っている必要があるわけです。
はー。
ハードル高いし大変ですね。
芸大は、他大学に比べて学費がめちゃくちゃ高いです。
だからこそ、「行った意味」を持って卒業したいところです。
これから進路の選択肢として芸大を考えている方は、
こういった覚悟を持って進学されることをお勧めします。
●卒業後はどうなるの?
大学を卒業すれば、もう社会人ですよね。
芸大を卒業した人たちは、どういう進路に進むのでしょうか。
これがもう、ピンキリで…
作品を作って生きていきたい、という方の中には
就職しない方も沢山います。
制作とはまったく関係のない仕事に就く、
もしくはフリーターとして
アルバイトなどで生活費を稼ぎながら制作する、
という場合もあります。
制作そのものが仕事に出来る場合もたくさんあります。
世の中には自分が考えているより
遥かにたくさんの職業が存在するので
そういった、
普通に生きていると知ることのない仕事の求人
を知ることができるのも、
芸大のメリットのひとつとして挙げられると思います。
学内掲示板や、キャリア支援課、
もしくは教授や講師の先生からの紹介など
芸大に来たから得られる情報というのが必ずあります。
また、大学によってはインターンシップの募集が沢山あります。
卒業生が活躍している会社、
大学の関係者と繋がりのある会社などから、
お試し就職をしませんか、という募集がくるわけです。
この辺では有名大学、ネームバリューのある大学に軍配があがります。
普通の大学と同じですね。
小さな大学では募集自体が少ないことも。
学校選びの際に気をつけたいところですね。
もちろん、芸大を出たけれど
まったく関連性のない職業に就く人も沢山います。
通っているうちに仕事にしたいと思えなくなったり、
もともと作品作りは大学在学中だけ、と決めていたり、
色んな理由があると思います。
「せっかく芸大に行ったのに…」とは思わないでください。
行かなくては分からないことも沢山あります。
何も得られずに卒業した、
好きなことだけれど、
芸大で得られるものは自分にはなかった
行かなくてはわからないことです。
あともう一つ、「大学院に進む」という選択肢もあります。
ただ大学院に関しては私が無知過ぎるので、
言及するのはやめておきます。
院がある学科・大学と、無い学科・大学があるので
気になるかたはチェックしてみてください!
●つまるところ、芸大に行くべきなのか?
長々と書きましたが、大学生活は貴重な時間です。
何にも邪魔されずに制作できる時間が、一番ある期間です。
芸大に行く意味は多大にあります。
行かなくていい理由も沢山、あります。
結局は、大学を出た後に自分はどうしたいのか、で選択が変わってきます。
今はまだ決められない、という方は
金銭面に余裕があるならば、私は、行くことをオススメします。
将来の選択肢を増やすために、です。
芸大に行かなくても選べる選択肢は、
芸大に行っても選べる選択肢であることが殆どではないでしょうか。
色んな理由で、自分には芸大を受験するという選択が出来ない、
という方は、その後に選べる道が少なくはなりますが
芸術関連のお仕事に就く道が断たれるわけではありません。
その辺のことは、明日のブログにて書いていきますね!
芸大に行くべきか、行かないでも良いのか、
迷っている方の参考に少しでもなれば、嬉しいです。
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