みなさんこんにちは!
定期的に映画をすすめてくる人、アイです♪
今回のタイトルは2016年公開の「神様メール」
エレガントな演出と、脚本のコメディ要素が絶妙にアンバランスなSFブラックコメディです。
アンバランスなんかーいと思ったそこのあなた、見れば分かります!
そして、今この社会情勢だからこそ見てほしい映画でもあります。
それでは一気にご紹介します。
少し長いですが後悔はさせません!笑
準備はいいですか?
あ、最初に注意事項をひとつ!
※常識を捨ててお読み下さい(^-^)
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突然ですがみなさん、神様を信じますか?
まぁ信じていても、いなくても、
頭の中にある神様像を一度ぶっ壊してください。
なぜなら、
この物語に登場する神様は、とんでもないクズ。
かつ性悪なうえ、見た目も冴えないただのおっさんだからです。
ブリュッセルに家族と住み、気の小さい奥さんに当たり散らしては、幼い娘をどつきまわす。
言わばただのDV男。
奥さんはそんな夫を恐れ、なーんにも喋りません。
“神様の嫁”ということは”女神様”でもある彼女ですが、その生活は超地味。
日々やることと言えば”カラフルで可愛いお花の刺繍”
“大好きな野球カードをながめる”この2つくらい。
というか、この2つしか許されてないような毎日です。
では、当のDV神様は普段何をしているのかと言うと、
毎日”全世界の不幸の法則”を更新させています。
いや、何それ?ですよね。ご説明致します。笑
例えば”急いでる時に限って信号がオール赤”なんてことありませんか?
“天気予報が晴れだったから布団を干したのに、突然の雨!”なんてことは?
・・・そういうの全部、この神の仕業です。
まぁそんな些細なことならまだ良いのですが、
“命に関わる悲惨な事故”自然災害”火事”などなど、
大なり小なりすべての不幸を、まるで子どもが積み木を倒すように
ぜーーーんぶ気分次第で操作しちゃいます。
それもパソコンで。
はい。もう一度いいます。
ぜんぶパソコンで、やってます。笑
かくいうこの神様、元々パソコンで世界を造ったのです。
毎日書斎にこもってはゲームするように街を作り、動物を作り、アダムとイブを造りました。
そして人間はどんどん繁殖し、世界ができた!というわけです。
ここまででもわりとぶっ飛び案件ですが、
本題はここから。
主人公はこのロクでもない神ではなく、その娘。
10才の少女エア。
当然ながら母親と自分を罵倒する父のことが大嫌いで、
産まれてから一度も外出を許可された事がありません。
頭が良く、10才にして少し影のある大人びた少女。
ですがその反面、動物と会話が出来たり、人の胸元にそっと耳を当てると
その人の心の音楽が聞こえてくる不思議なチカラを持っています。
そしてそれらを材料に、人々に夢を見せ、健やかな方へ導くことが出来る、
なんともやさしくて可憐な、神様の娘です。
ある日エアは父の書斎に忍び込み、パソコンから世界を覗き見します。
すると画面には大破した車や、災害でへしゃげた家、悲しむ子供などが映し出され、
それら全てが父の仕業であることを悟ります。
「見ず知らずの人をあんな不幸にさらすなんて酷い」
と父に怒りをぶつけるエア。
当然、返り討ちにあってボコボコにしばかれるエアですが、屈しません。
そして「私が世界を良くする。父を懲らしめ、すべての準備が整ったら家を出る」と決意します。
しかし彼女はまだ10才。
1人では何もできず、兄に相談します。
ん?エアの兄?つまり、神様の息子?ということは、、もしや?
そうでーす。兄はイエス=キリスト、JCです。笑
「私もJCのように使徒を見つけて世の中を良くしたい。どうすればいい?」とたずねるエア。
「キリスト、動きます。」と言わんばかりに、
JCは超トリッキーなアドバイスをします。
「おう妹よ、よう聞きや。
おとんの書斎の資料からテキトーに6人の人間を選んで、
実際に会いに行って使徒にしたらええ。
ほんで新・新約聖書を書かして本人らに語り継がせたらええわ。
自分の福音書を自分で語る。どや?斬新やろ?
え?なんで6人かって?いやいや最後の晩餐見た?
オレの使徒が元々12人おるやろ?あと6人おったら野球できるやん。
おかん野球好っきゃろ?毎日野球カード見てるやろ?
18人揃えば、おかんが喜んできっと”ステキな事”が起こるで。
あと、家出の裏ワザ教えたるわ。
あんな、家の洗濯機(ドラム式)あるやろ?
あれの設定を[水温40度][化学繊維]に合わして
中に入れば外の世界行けんねん。すごいやろ?
まぁ頑張れや。はっはー!」
(※本編の台詞は関西弁ではありません。)
エアはすぐさま行動を起こします。
再び父の書斎に忍び込み、まず手始めに例のパソコンから
【全人類に向けて、それぞれの命日までのカウントダウンをメールで送信】するのです。
あと何日と、何時間、何分、何秒であなたは死にますという、余命宣告メールです。
そしてしっかりパソコンをショートさせたのち、兄の教え通りテキトーに6人選んだらこっちのもん。
ダッシュで外の世界へGOーーー!!!
無論、家の洗濯機から。笑
一方、外の世界では、
いきなり自分の携帯電話に命日までのカウントダウンが送られてきた人間たち。
余命100年の人も居れば、あと1秒の人も居ます。
最初こそ誰も信じませんでしたが、実際に宣告通り死亡する人も現れ、
確実に迫ってくるその数字に世界中は徐々にパニックになります。
「アホらしい」と戦争が終わり、
会社を無断欠勤するサラリーマンが急増し、
SNS上では飛び降り自殺を生中継する若者まで現れます。
エアの思惑通り、全人類が父である神を信じなくなり、好き放題に生きはじめたのです。
そんな中、生まれて初めてこっちの世界へやって来たエア。
大雨に打たれては感激し、夜景に浮かぶゴミの焼却炉を見て
「天国みたいに美しい」とつぶやくほど、全てが新鮮でした。
たまたま出会い世話を焼いてくれたホームレスのヴィクトールに懐き、こっちの世界での案内人になってもらいます。エアはヴィクトールと共に、選んだ使徒6人に会いに行き、新・新約聖書を完成させていきます。
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例えば、2人目の使徒は中年サラリーマンのジャン・クロードでした。
幼い頃は冒険家に憧れていましたが、現在の彼は会社で重役につきながらも退屈な毎日を送っていました。
全人類の携帯が鳴ったあの日、
彼はアタッシュケースを公園のゴミ箱に捨て、ベンチに腰掛けていました。
そして傍らに飛んできた鳥に尋ねます。
「君は何処へでも飛んでいけるのに、何故こんな公園に居るんだ?」と。
すると、全く同じ質問を返され、鳥はどこかへ飛んで行ってしまいます。
意表突かれ、何も言えないジャンクロード。
エアは彼の胸元に耳を当て、心の音楽を伝えます。
「あなたの音楽は、ラモー、鳥のさえずり」
彼はそのまま、鳥を追いかけ旅に出ます。
このように、エアは不思議な力で6人をやさしく導きます。
その姿こそ、まさに神様。
これもまた想像の神様とは少し違いますが、とてもキュートな神様です♪
そして6人目、最後の使徒はウィリーという少年でした。
エアと同い年くらいですが、2人が知り合った日、彼の余命はあと一週間でした。
皮肉なことに6人の中で唯一の子どもである彼が、一番短命だったのです。
彼もまた、不幸な少年でした。
両親から間違った愛情を受けて育ち、自分の性別に違和感を感じながら暮らしています。
しかし自らの余命を知った彼は、
「男の子のボクは、女の子になれる?」と両親にカミングアウトし、
次の日には真っ赤なワンピースを着て登校します。
生まれてからずっと心にあった違和感を、やっと消し去ることができたのです。
残された一週間をエアと共に過ごし、
2人は死までのカウントダウンを1日、2日と数えるのではなく、
1ヶ月、2ヶ月と数えることにします。
それだけでウィリーは7ヶ月生きたことになるからです。
そしてこの時の2人はすでに、お互いを特別だと思うようになっていました。
新・新約聖書が完成し、使徒は6人揃いましたが、
ついにウィリーの命日がやって来てしまいます。
「海を見ながら死にたい」と言う彼の願いを叶えるため、全員で海に向かいます。
浜辺に座りそれぞれの福音書にみんなが微笑む、
そんな穏やかな時間が流れる中、ふと時間を確認するウィリー。
「あれ?僕死んでない。。」
自分の死亡推定時刻がすでに過ぎていることに気付きます。
困惑して空を見上げると、なんと一面に”カラフルで可愛いお花模様”が広がっていたのです🌼
何処か見覚えのあるその模様に、エアは全てを悟り微笑みます。
そして、一度世界がリセットされたかのように人々は全てから解放されます。
本当に、全て、から。
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いかがですか?観たくなりましたか?
ウィリーやジャンクロードの他にも、エアが選んだ使徒たちには、
もちろんそれぞれの人生があり、物語があり、テーマソングがあります。
彼らひとりひとりの心の中の旋律も必聴です。
そしてどのセリフもとても優雅で、もしかしたら聖書の中身と掛かっている、
なんてこともあるのかもしれません。
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あ、そうや。忘れてた。
当然、外へ旅立ったエアを追って怒り狂った父もこっちの世界へやって来ます。
しかし横柄な態度は何処に行っても変わらず、
誰にも神だと信じてもらえぬまま出会う人すべてに嫌われまくります。
特に牧師を逆ギレさせてボコボコにされるシーンは最高です。
牧師さんにキレられるってどんだけやねん。笑
クライマックス、何故ウィリーは死ななかったのか?
人々が解放された”全て”とはなんなのか?
何故エアは空を見て微笑んだのか?
こっちの世界へやってきた父はその後どうなったのか?
JCの言った18人揃えば起こる”ステキな事”とはなんだったのか?
是非ご覧になってお確かめ下さい♪
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最後におまけ。
この作品の脚本と監督を手掛けたジャコ・ヴァン・ドルマルさん。
なんと約30年の映画監督人生で発表した作品はたった4つ。
だけど全ての作品が、世界各国で高く評価されているそうです。
仕事せんのに、出しゃ当たる。かっこええなぁ。笑
ほなねっ!